ガラスや樹脂フィルムの表面上に周期的に配置された微細な金属ワイヤーを形成することで、偏光素子になります。
ワイヤグリッド偏光子では、p偏光成分を透過し、s偏光成分を反射(一部吸収)することで偏光特性が得られます。
p偏光成分のロスが少なく、薄型で広帯域の偏光特性が得られます。基板がガラスなどの無機材料で構成されている場合、熱に強い特徴があります。一方、基板が樹脂フィルムの場合、安価に生産でき屈曲が可能であることが特徴です。
この偏光特性を、構造色シミュレータ(Structural color simulator)を用いシミュレーションしてみます。
基板をクオーツとし、金属ワイヤーをアルミ(線幅50nm)で100nm周期にします。アルミの厚さを100nmとすると、以下のような光学特性が得られます。
グラフのTsおよびTpから、波長350nm以上で偏光素子として使用可能なことがわかります。また、ワイヤーグリッド偏光素子は異方性結晶による偏光素子とは異なり、光の入射角が多少変化しても偏光性能を維持します。以下は、入射角を15度としたときの光学特性のグラフですが、偏光性能は大差ないことがわかります。