構造色シミュレータ

光の波長以下の微細構造から生じる構造色の反射・透過スペクトルを計算するRCWA法を用いた構造色シミュレータStructural color simulatorです。使用するには以下のリンクをクリックしてください。

https://share.streamlit.io/horiems/strcolor/app.py

構造色は、その周期性から回折格子のように取り扱いできます。

その周期性を利用してRCWA(rigorous coupled-wave analysis:厳密結合波解析)と呼ばれる高速で安定な演算方法を採用しています。

このWebアプリは使い方を簡単にするため、以下のようなライン&スペース台形断面構造の多層の一次元周期構造を扱います。

一次元周期構造のモデル(Trapezoid型)

RCWA法の基本的な考えかたは、多層膜に対する転送行列法と同じであり、上図のように多層で分割し、階段形状で近似します。多層膜の場合と異なるのは、回折光が存在するため、波数ベクトルの接線成分が単一ではなく、入射光のそれに格子ベクトルの整数分が加わった値となります。入射光の面内波数をkx0とすると回折光のそれは以下のようになります。ここでKは格子ベクトルでmは回折次数です。

回折光の面内波数

・左のサイドバー
 入射角度と波長範囲を指定します。
 Atmosphereで媒質の屈折率(通常は空気なので1)を指定します。
 Substrateで基板名を選択します。(初期設定はSilicon)

・上部のFilm parameters
 層数,周期[nm], 最大回折次数を指定します。
 周期が波長以下になると特徴的なスペクトルが得られます。また、最大回折次数が大きいほど計算精度は上がりますが、計算速度が大幅に低下します。

・各層の設定
 各層の材料名, 線幅, 膜厚[nm]を指定します。
 なお、線幅は周期に対する比率であり、例えば周期が80nmのとき線幅を0.4とすると、実際の線幅は80x0.4=32nmとなります。

・計算結果

 反射率,透過率は、すべての回折効率を足し合わせたものを出力したものです。

構造色シミュレータの画面例

回折格子の計算例

クオーツ基板上にアルミ線を等間隔で引いた場合の反射特性をシカに示します。

クオーツ上のアルミパターンの反射・透過スペクトル

入射角を変えていくと、色調が大きく変わっていくことがわかります。以下は入射角を20,25,30と変えたいときの反射色です。

入射角を変えたときの反射色

応用例

広帯域分光測定に適用されるRCWA分析は、周期的なトレンチ構造の詳細な形状情報を取得するための測定技術として、半導体業界で主に利用されています。この手法は、断面SEMに匹敵するトレンチの深さと限界寸法(CD)の結果を提供するために使用されていますが、高スループットと非破壊という利点もあります。

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