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光学

構造色シミュレータの公開

光の波長以下の微細構造から生じる構造色の反射・透過スペクトルを計算する構造色シミュレータStructural color simulatorを公開します。使用するには以下のリンクをクリックしてください。

https://share.streamlit.io/horiems/strcolor/app.py

自然界には輝くような色の生物が沢山います。昆虫ではモルフォチョウや玉虫などは、構造色と呼ばれる発色の仕組みを持っています。 色素による吸収の色ではなく、光の波長程度の微細な構造が、干渉や散乱などの光学現象を起こして着色しています。

最近では自動車やスマートフォンの外装に用いられることも増えてきます。 CDやDVDの表面色も構造色といえます。

また半導体デバイスの表面も微細な周期構造を作りこむため、構造色が生じます。この構造色から逆にその構造を詳しく求めることも実際に行われています。これは、スキャトロメトリー(scatterometry)と称し、光を用いてその波長以下の構造を解析する技術です。

構造色は、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による、分光に由来する発色現象を指す。身近な構造色にはコンパクトディスクやシャボン玉などが挙げられる。コンパクトディスクやシャボンには、それ自身には色がついていないが、その微細な構造によって光が干渉するため、色づいて見える。

ウイキペディア

構造色は、その周期性から回折格子のように取り扱いできます。

その周期性を利用してRCWA(rigorous coupled-wave analysis:厳密結合波解析)と呼ばれる高速で安定な演算方法が用いられます。

このWebアプリは使い方を簡単にするため、ライン&スペースのような多層の一次元周期構造のみを扱います。

使い方は、先に公開した光学薄膜シミュレータと同様なので、相違点を中心に説明します。

・左のサイドバー
 入射角度と波長範囲を指定します。
 Atmosphereで媒質の屈折率(通常は空気なので1)を指定します。
 Substrateで基板名を選択します。(初期設定はSilicon)

・上部のFilm parameters
 層数,周期[nm], 最大回折次数を指定します。
 周期が波長以下になると特徴的なスペクトルが得られます。また、最大回折次数が大きいほど計算精度は上がりますが、計算速度が大幅に低下します。

・各層の設定
 各層の材料名, 線幅, 膜厚[nm]を指定します。
 なお、線幅は周期に対する比率であり、例えば周期が80nmのとき線幅を0.4とすると、実際の線幅は80x0.4=32nmとなります。

構造色シミュレータの画面例

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