カテゴリー
光学

表面プラズモン共鳴

表面プラズモン共鳴は、特定の条件下で金属薄膜中の自由電子波が表面で光と相互作用する現象である。その結果、光吸収が生じたり、表面近傍の電場強度の増強が起こったりする。

表面プラズモン共鳴(ひょうめんプラズモンきょうめい、: Surface Plasmon Resonance、略称:SPR)は、固体あるいは液体中の電子が、それら(固体あるいは液体)に入射した光によって集団振動を誘導される現象、あるいは、その集団振動のことである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

下図のように底部に金属を薄くコートしたプリズムを使ってp-偏光の光を入射した際の反射率を測定すると、共鳴が生じる入射角で反射率が低下して最小となる。この角度を共鳴角と呼ぶ。

クレッチマン配置

金属層の表面に誘電体層が吸着したり周辺物質の屈折率が変化すると、共鳴角が変化するため、屈折率やバイオ由来物質のための光学センサとして用いられる。

この現象を光学薄膜シミュレータ(Optical film simulator)で計算してみる。

周辺物質には水(n=1.33)を、プリズムには高屈折ガラス(n=1.86)を想定し、金属コートには金コート(厚さ47nm)とした。また、金コートと水の間には厚さ10nmのSiO2相当の材料が存在するものとした。

入射光条件とプリズムの屈折率は、左のサイドバーで以下のように入力する。

入射光条件と媒質(プリズム)の屈折率を設定
各層の材料名と膜厚を設定

計算結果は以下のようになる。

表面プラズモン共鳴

SiO2の膜厚を変えていくと、共鳴角が変化することがわかる。

角度の測定精度は、0.01度~0.001度であるため、0.01nm以下の膜厚に相当する微小な物質の吸脱着が測定できることがわかる。

カテゴリー
光学

ブラッグミラー

ブラッグミラー(Bragg reflector)は、光ファイバーなどの導波路で使用される反射鏡です。これは、屈折率が変化する、または誘電体導波路の特性(高さなど)の周期的な変化によって、ガイドの実効屈折率が周期的に変化する、交互の材料の複数の層から形成される構造です。波長が層の光学的厚さの4倍に近いと、多層膜は高品質の反射器として機能します。

繰り返しの層数を増やすと、ミラーの反射率が増加し、各層の屈折率差が増加すると、反射率と帯域幅の両方が増加します。

このブラッグミラーをシリコン(Silicon)とシリコン酸化膜(SiO2)の多層膜で設計してみます。

設計波長を600nmとします。

シリコン(Silicon)の膜厚は、設計波長の1/4をシリコンの屈折率(n=3.943@600nm)で割った値、つまり600/4/3.943=38.04nm≒38nmとなります。

シリコン酸化膜(SiO2)の膜厚は、設計波長の1/4をシリコンの屈折率(n=1.548@600nm)で割った値、つまり600/4/1.548=96.89nm≒97nmとなります。

このパラメータを光学薄膜シミュレータに設定します。

https://share.streamlit.io/horiems/filmsimulator/app.py

一旦、層数を9層として以下のように入力します。

ブラッグミラーの膜構造の例

反射率スペクトルのシミュレーション結果は、以下のようになります。

ブラッグミラーのシミュレーション例(設計波長600nm)

また、そのときのXYZ色度座標と色は以下のようになります。

XYZ色度座標

また、入射角30度になると以下のように反射スペクトルになることがわかります。

入射角30度でのブラッグミラーのスペクトル